西暦への変換のための時間ロスとミス発生リスク
2019年4月23日付記事で、和暦に西暦を併記することを提案しました。
2021年の幕開けに西暦併記の必要性について再び書きたいと思います。
和暦だけしか記載されていない文書は、いろいろな場面で不便と問題が生じます。
運転免許証の有効期限が平成32年以降になっていた人、なっている人は、和暦だけの不便さを感じたのではないでしょうか。
しかも免許証は、和暦から西暦への変換作業のほかに、中型や準中型という区分が次々に導入されたため、運転できる自動車が何かわかりにくくなっています。
契約書、定款、給与明細書、請求書、領収書なども和暦だけでは混乱が生じやすいと思います。
戸籍謄本(全部事項証明書)には複数の人が記載されています。出生、婚姻、離婚、死亡のそれぞれに日付がありますので、外国語に翻訳する時は、全て西暦に変換しなければなりません。この時間ロスとミス発生リスクを想像してみてください。
この時間ロスは誰が負担するのでしょうか?役所の人は月給や時給で仕事をされているので、勤務時間内での仕事として考えられるかもしれません。しかし「時は金なり」とも言います。西暦が併記されていれば、西暦変換作業に費やしていた時間を別のサービスにあてることができます。
フリーランスの翻訳者が翻訳のために和暦から西暦への変換をする場合、この作業にかかる時間は、何らかの形で料金に反映されると考えていいのではないでしょうか。変換作業を考慮して高めの料金にした場合は、お客様が負担することになりますし、変換作業をサービスとはみなさずに変換作業を必要としない翻訳と同じ料金設定を適用している場合は、変換作業にかかる時間は翻訳者が負担していることになります(その分だけ割引しているようなものです)。
西暦を併記することのメリット
翻訳する、しないにかかわらず、和暦に西暦を併記しておけば、どのようなニーズにおいても、現在から何十年前、何百年前・後のことか一目でわかりますし、ひとつの文書に元号の異なる複数の年が関係している場合に西暦も記載しておけば、勘違いやミスをするリスクを最小限に抑えられるはずです。
和暦は日本の伝統でもあり、多くの書類で使われていることを考慮すると、日本で作成される文書から和暦を完全になくして西暦だけを使用するよりも、和暦と西暦の併記の方が日本らしさの維持、利便性の向上、そして作業効率化を実現できると思います。
次世代のことを考えましょう
今やならければ、これから先もっと面倒になっていくのは目に見えています。次世代に更に多くの時間ロスをさせてしまってはいけません。
一日も早く西暦併記の導入をお願いします。
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