2019年5月1日から新元号「令和」

2019年5月1日から新元号「令和」

和暦記載文書のフランス語翻訳

新元号「令和」が2019年5月1日からスタートします。

和暦を使用している文書は、外国語に翻訳する時に少し面倒な作業が発生します。

例えば「平成31年3月31日」。「平成」の部分を「Heisei 31」と直訳しても外国では理解してもらえませんので、西暦に変換する必要があります。

戸籍関係書類は、日付が多く記載されている書類のひとつで、生年月日、(出生や死亡の)届出日、(文書の)発行日の他に、婚姻や離婚に関する記載があれば、記載されている年月日が多くなります。

また、日本では年・月・日の順番で日付を表記しますが、フランス語では日・月・年の順番で日付を表記します。

記載方法で「JJ/MM/AAAA」という指定を見かけることがありますが、これは次のような意味です。

JはJour(日)

Mは Mois(月)

A はAnnée(年)

JとMが2文字になっていて(JJとMM)、Aが4文字(AAAA)となっているのは、それぞれの数字の文字数です。2019年3月1日を例に挙げると、01/03/2019となります。A(年)に関しては、AAと2文字で「JJ/MM/AA」のこともあります。2019年3月1日は、01/03/19になります。

スラッシュ「/」の代わりにカンマ(コンマ)「. 」を使うこともあります。例:01.03.2019 

このように数字だけによる日付表示は、賞味期限や使用期限の表示だけでなく、メールでも使われます。

日付を詳細に記載する場合の例を見てみましょう。

日本語書類の表記:平成31年3月1日

フランス語訳:Le 1er mars 2019

フランス語の文書を日本語に訳すときは、西暦は和暦に変換せず西暦のままにします。

勘違いするリスクとレイアウト上の困った点

和暦が使われている文書を外国語に訳すときは、西暦への変換作業に時間がかかりますし、「明・大・昭・平」という略語表示以外にも、それぞれをコード化して数字で示している文書もあります。その文書を見るだけでは、その数字がどの元号を示しているのかわからないこともあり、コード化されていることに気が付かなかったり、コードが示す元号を勘違いするリスクが増えます。

また、法定翻訳の場合はレイアウト上で更に作業が増えることがあります。

原文の全てを翻訳上に取り入れるという原則に従うとすれば、「明・大・昭・平」という略語の記載を訳さなければ(実際にはローマ字表記ですが)ならないときは、日本語文書では1文字ずつでレイアウト上もすっきりししてるのですが、フランス語訳文でローマ字表記を入れると数文字になりますので、それだけスペースが必要です。和暦の西暦換算に限らず、略語の多い日本語文書の外国語翻訳では、1ページの日本語文書が、翻訳すると2ページ以上になることもあります。

特に、日本で発行された源泉徴収票のフランス語翻訳はレイアウトに時間がかかります。

変化し続ける社会、守り続けられる伝統

和暦から西暦への変換作業に頭を痛めているのは翻訳者だけではないはずです。

日本の伝統として和暦は続けられるべきでしょう。ただ、勘違いするリスクを減らす方法を導入して欲しいものです。

中古車輸出の輸出証明書は、和暦と西暦が併記されていてとてもわかりやすく、日付の表記が略されていないので、翻訳したときにレイアウトが崩れにくいという、翻訳者に対する思いやりが感じられる文書形式です。

戸籍や源泉徴収票は、外国語に翻訳されるということは想定外で発行されるので、日本向けの形式になっているのでしょうが、和暦と西暦を併記した方が日本人にとってもわかりやすいと思います。

かつて着物(和服)で暮らしていた日本人は、洋服が主流となった今でも着物を伝統として大切にしています。多くのビジネスや役所の日本語文書で西暦のみを使うようになったとしても、元号と和暦も日本の伝統としていつまでも続けられるのではないでしょうか。皆様はどう思われますか?

Article rédigé par KYH

記事投稿者:KYH