皇室典範改正案-一般人配偶者の戸籍はどうなる?

皇室典範改正案-一般人配偶者の戸籍はどうなる?

女性皇族の一般人配偶者が筆頭者として戸籍が作られる?

現在審議されている皇室典範改正案では、女性皇族が一般人男性と結婚して皇籍に留まる場合は、女性皇族には住民基本台帳を適用するとのことですが、一般人配偶者の方の戸籍はどうなるのでしょうか?

現在未婚で親の戸籍に入っているのであれば、結婚する相手が皇族だからといって単に除籍になって新しい戸籍が作られない(無戸籍者になる)ということはちょっと考えられないので、新しい戸籍が作られるものと想定して、どのような記載がされるのか考えてみたいと思います。

日本国籍者同士が結婚する場合は、未婚の間は親の戸籍に入っていて、結婚することにより夫婦の戸籍が作られるのが通常の手続きだと思います。筆頭者は姓を変更しない方の配偶者ということなので、姓のない皇族は筆頭者とはならず、皇族には戸籍が作られないということで住民基本台帳を適用するというのであれば、一般人配偶者男性が筆頭者となる戸籍が作られ、婚姻についても記載されることが予想されます。

夫婦の欄はどうなる?

日本国籍者同士の婚姻によって作られる戸籍が全部事項証明書であれば、夫婦それぞれの欄があり、配偶者区分として「夫」、「妻」と記載されます。各自の欄には父母の氏名と続柄、出生日、出生地など、婚姻欄には婚姻日、配偶者氏名や従前戸籍などが記載されるかと思います。一般的な形式に従うのであれば、「妻」の欄の父母の氏名の項目はご両親である皇族の方々のお名前が記載されるのでしょうか?

夫の個人事項証明書であれば配偶者区分に「夫」、妻の個人事項証明書であれば「妻」と記載されるはずです。個人事項証明書でも「配偶者氏名」欄はあるはずで、それによって婚姻の事実が証明されるのだと思いますが、証明対象でない配偶者の出生日などは記載されないようです。

無戸籍者との婚姻による戸籍の形式を調べてみたら

皇族の方は皇統譜に記録されていて一般人の戸籍はないということで、少しでも類似点のありそうなケースを調べていたところ、法務省のサイトで無戸籍の方が婚姻した場合の戸籍の見本を見つけました。妻が無戸籍で夫に戸籍がある場合の全部事項証明の見本で、婚姻後は夫が筆頭者になり、配偶者区分の記載はありません。婚姻の事実は婚姻欄にある婚姻日と配偶者氏名で確認できます。ただ、無戸籍配偶者の出生日や出生地などの情報がないため、戸籍が必要な何かの手続きで無戸籍配偶者の出生日も証明しなければならない場合は、身分証明書なども必要になるかと思われます。「配偶者氏名」という言葉が入っている点は、一般的な全部事項証明書と個人事項証明書と同じだということがわかりました。

子どもの戸籍はどうなる?

お子さまの個人事項証明書は一般的な形式と同じになり、「母」の項目だけ氏名ではなくお名前だけの記載になることが予想されます。全部事項証明書の方は、両親である一般人配偶者の方が「夫」、女性皇族の方が「妻」の欄に記載されるはずですが、「妻」の欄に一般的な全部事項証明書と同じ情報が記載されるかどうかは疑問です。

戸籍が必要な手続きには何がある?

戸籍が必要な手続きのひとつにパスポートの申請が挙げられます。パスポートは個人に対して発給されるものなので、本人に関する身分事項が記載されていれば一般人配偶者の方とお子さまのパスポート申請には問題は生じないと思われます。

また、相続手続きをされたことのある方なら戸籍の重要性を実感されたかと思いますが、相続をするための様々な手続きや名義変更で戸籍が必要になるはずです。遺言公正証書の作成でも戸籍が必要だそうです。

ところで、一つの家族に皇族の方と一般国民の方がいらっしゃる場合、相続はどうなるのでしょうか?

上記以外にも国内において戸籍が必要な手続きがいくつかあるようです。海外で長期滞在や居住などの手続きをするときに身分(未婚・既婚など)、夫婦関係、親子関係等を証明するために戸籍が必要になることがあります。このため、結婚しているのに戸籍に配偶者名が記載されていなかったり、親子関係の情報が必要なのに母親名が記載されていない戸籍だと手続きが複雑になるおそれがあります。

戸籍のことに限らず、一般人配偶者とお子さまは普通の一般国民と同じ権利・義務を持つと言うのは、理論上は成り立っても現実的にはどうなのか、具体的に生活の様々な場面を考えればそれが大変難しいものであることが想像されます。自分がもしこのような家族形態を誰かに決めつけられ、不安や苦しみを相談できる人も周りにごくわずかしかいなかったらどう感じますか?