「いただきます」はフランス語で?

「いただきます」はフランス語で?

「いただきます」とフランス語の「Bon appétit ボナペティ」は意味が違う

フランス語会話集などに、日本語の「いただきます」に相当する言葉として「Bon appétit ボナペティ」という表現が記されているかもしれませんが、もともと意味が違いますし、使い方も違うので、注意が必要です。

フランスのレストランでウエイターさんが料理を持ってきてくれたときに、「いただきます」のつもりで料理に向かって「Bon appétit ボナペティ」と言ったら、変な顔をされること間違いなし。

ウエイターさんの方がお客様に「Bon appétit ボナペティ」と言うことの方が多いかもしれません。

というのも「Bon appétit ボナペティ」は「良い食欲を」という意味で、これから食事をする人に対して使う言葉なのです。食べ物や料理してくれた人に対しての感謝の表現ではないので、日本語の「いただきます」 とは使い方も異なるのです。

「Bon appétit ボナペティ」は、一緒にテーブルを囲んで食べようとしている人に対して使われます。また、食事に出かけようとしている人に「Bon appétit ボナペティ」と声をかけることもあります。

フランス人に「Bon appétit ボナペティ」は日本語で何と言うか聞かれて、「いただきます」ですよ、と簡単には答えられないんですよね。

このように一見簡単そうに見える言葉も、国と言語によってずいぶん違いますが、それによって自分の国の言葉を再発見するのも楽しいのではないかと思います。

フランス語の「Bon appétit ボナペティ」は失礼かも?

さて、食事をする人に対して使われる「Bon appétit ボナペティ」という表現ですが、言葉の歴史的背景から、この表現を使うのは失礼だ、自分に対して言ってほしくないと考える人もいます。

中世の頃は食べ物を消化する体のしくみが謎であったことなどから、食べ物が無事に消化してくれるのか不安があり、「良い消化を」、「頑張ってね」という意味で「Bon appétit ボナペティ」という表現を使うようになったからだそうです。

そのため、「Bon appétit ボナペティ」という言葉を避ける場合は、次のような表現が良いとされています。

  • 「Un agréable déjeuner アン・アグレアブル・デジュネー」(楽しい昼食を)
  • 「Un excellent dîner アン・エクセラン・ディネー」(素晴らしいディナーを)
  • 「Bonne dégustation ボンヌ・デギュスタスィオン」(どうぞお召し上がりください)

ちなみに「Dégustation デギュスタスィオン」は、「試食」、「試飲」、「味わってみること」という意味なので、「Bonne dégustation ボンヌ・デギュスタスィオン」という表現は使えるシーンが限られます。

実際には、「Bon appétit ボナペティ」は広く使われており、失礼だと考えている人は少数派のようです。もし誰かに招待されて、自分から「Bon appétit ボナペティ」と言えない状況の場合は、「Ça a l’air délicieux サ・ア・レール・デリスュー」(美味しそう)という表現がおすすめです。

「ごちそうさまでした」はフランス語で?

フランス語の場合では、料理してくれた人や準備してくれた人に感謝の意を示したい時は、次の表現がよく使われます。

  • 「C’était délicieux セテ・デリスュー」(美味しかったです)
  • 「C’était bon セテ・ボン」(美味しかったです)
  • 「C’était très bon セテ・トレ・ボン」(とても美味しかったです)

また、「素晴らしかったです」という意味の「C’était excellent セテ・エクセラン」、「すべて完璧でした」という意味の「Tout était parfait トゥーテテ・パルフェ」なども使われます。