ロックダウンになる前に
フランスでは(2020年)3月17日正午から全国封鎖となっています。この記事では現在までの状況や気づいたことなどをお伝えします。
日本でも東京封鎖の可能性があるとのことで、フランスやイタリアでの失敗を繰り返すことなく、また、感染拡大とロックダウンが続いた時に必要になるものなどを想定して準備されることを願っています。
スーパーに客殺到・・・なぜ繰り返されてしまうのか
フランスの場合は、まず大学も含めた学校の休校、次にレストランやカフェなどの一斉休業、そして全国封鎖(ロックダウン)まで数日しかなく、週末を挟んでいたこともあって、限られた時間に生活必需品を買うためスーパーに人々が殺到しました。
「社会的距離の確保(ソーシャル・ディスタンシング)」と呼ばれる対人距離(フランスの場合は最低1メートル)を設定した店もあるようですが、客の数が多ければ店内は密集空間になってしまいます。
これによって感染リスクの高い場所に多くの人が行ってしまいました。
具体的な対策を発表して避けてもらう
ロックダウンの目的は、人の移動を制限して感染拡大を抑制することです。それなのに、ロックダウンが発表された後に多くの人が移動して混雑した空間が形成され、感染リスクを高めてしまうという失敗が多くの国で繰り返されてしまいました。
日本ではもう二度と同じミスをしないよう、ロックダウンが発表される時には、人が集まる空間を作らないよう具体的な対策も同時に発表してほしいと思います。
スーパーだけではない密集空間の形成リスク
ロックダウンの実施が発表されると移動ラッシュが生じることがあります。移動ラッシュの規模やパターンをいくつか想定して対策を考えておいてほしいと思います。
イタリアでは最初に北イタリアでロックダウンされたことから、若者を中心に南イタリアへ多くの人々が移動して全国で感染が広まったと考えられています。
フランスでは最初から全国封鎖となりました。もしかしたらイタリアの失敗を避けるために一斉にロックダウンしたのかもしれませんが、都心部から地方への人の移動は起きてしまいました。パリから西フランスなどへバカンスのつもりで移動するといった行動パターンがあったのです。
また、大学の休校と全国一斉封鎖がほぼ同時だったために、大学生の帰省も集中してしまいました。
こうした移動ラッシュが生じる可能性もあるということを考えて、東京や関東で起きそうな行動パターンを予想して対策を立てておく必要があるのではないでしょうか。
大都市から地方への移動による問題
移動ラッシュでは、公共交通(電車、飛行機、バスなど)を使った場合は、そこに密集空間ができてしまうという問題があります。
また、移動先で問題が生じることもあります。
- 移動先の人口が増加し、生活必需品の需要と供給のバランスが崩れることがある。
- 移動先の人口が増加し、感染が拡大した時に、医療施設や医療従事者が増加人数に対して不足することがある。
移動ラッシュが起きる前に
ロックダウン直前にフランスで起きた移動の問題を振り返ってみると、1両あたりの乗車人数を制限するなど、密集空間を作らないための措置が取られるべきでした。
また、バカンスを過ごすための地方への移動は、移動によって生じる問題を人々に事前に伝えていたなら、非難されるような行動を敢えてする人は少なかったのではないでしょうか。
移動ラッシュ対策の発表や注意喚起は、ロックダウンの発令と同時にすべきでしょう。ロックダウンを発表してから実施の日までに移動が生じてしまってからでは遅すぎます
医療従事者・介護従事者の支援
医療従事者・介護従事者の生活を支援する
感染が拡大して医療現場は多忙を極めるので、様々な支援が必要になります。
- 医療従事者・介護従事者の家族支援(子どもの世話、生活必需品の買い物代行など)
- 感染者が急増して医療従事者が不足した地域に、他の地域から応援に来てくれる医療従事者の宿泊場所の提供
- 勤務中の食事の提供(勤務先に配達)
- 医療従事者・介護従事者のメンタルケア
風評被害の原因である不安をなくす
医療従事者を支援すべきなのに、感染リスクが高いということから風評被害が出ています。
フランスでは、アパートをシェアしていたルームメイトからの締め出し、集合住宅の他の住人からの引っ越し要求などの風評被害が報告されています。
締め出しのような極端な行動には至らないにしても、感染リスクの高い人が身近にいると不安になるのは自然なことではないでしょうか。テレビやラジオのインタビューで、家族であっても、住居スペースが限られているので対人距離もとれず不安だと話している人がいました。
つまり、そうした不安には積極的に耳を傾け、具体的な解決策を説明したり、解決策が無ければ解決できるように国や自治体が努力すべきではないでしょうか。
ただ単に風評被害はやめましょうと言うだけでは解決できない問題ですし、不安を抱えている人はその状態が長びくほど不安が増して悪循環に陥ってしまいます。
みんなでアイデアを出しませんか?例えば・・・
- 病院に近いホテルを国や自治体が借り上げて、医療従事者に部屋や食事を提供し、生活全体を支援する。
- 単身赴任の人には、安心して家族と過ごせる時間と場所を設ける。
支援が必要になる人々
外出制限下でもできる支援方法を考えておく
外出制限によって生活が困難になったり、 状況が悪化する可能性の高い人たちがいます。
- 高齢者だけの家庭
- 障害者
- 介護の必要な人がいる家庭
- 生活保護を受けている人
- 一人暮らしの人
- 家庭内暴力の被害者
- 虐待を受けている子ども
- ホームレス
- 難民
外出制限下で暮らすということ
食料品の需要増、買い物頻度は少なく
昼も家庭で食事をする人が圧倒的に増えるので、外出制限前よりも食料品を多く買う必要が出てきます。外出する機会がわずかしかない状況では、買い出しは外に出られる貴重な機会なのですが、買い物に行く回数はなるべく少なくした方がいいと考えられています。
外出制限の目的は移動の回数と人数を減らすことです。
狭い空間での生活
庭付き一戸建てに住んでいる人と、集合住宅に住んでいる人では、外出制限のインパクトに大きな差があります。
東京がロックダウンになる場合は、公園や広場などを閉鎖すると精神的な苦痛が大きすぎるように思います。時間や人数などを制限して対人距離を取れれば、問題は少ないのではないでしょうか。
外出制限が続いたらどういう生活になるのか、各自がイメージして対策を練っておくことをおすすめします。
外出制限が実施されなければそれに越したことはありませんが、心の準備ができていない状態で外出制限下での生活が始まってしまうのは避けたいものです。
集団感染の発生
フランスやイタリアのように厳しい外出制限が実施された場合は、イベントなどは全て中止になるので、不定期に人が多く集まる機会はなくなります。フランスでは市場(マルシェ)も原則禁止となりました。
外出制限が実施されてから集団感染が発生してしまった場所には次のような施設があります。
- 介護施設
- 老人ホーム
- 医療施設
- 刑務所
詐欺に注意
詐欺はどんな状況でも発生しますね。 本当に困ったものです。どうぞご注意ください。
地震発生リスクも忘れないで
もし地震が発生して、避難所生活を送らなければならなかったら・・・考えたくないですが、密集空間をつくらないための対策を考えておいてほしいです。
どうぞお気をつけてお過ごしください。